東北・福島へ 2012/07

7月14日・15日の両日に福島県南相馬市に沖縄三線の演奏に行きました。
東日本大震災で被害を受けられた場所へ沖縄民謡やポップスを聞いてもらいに行きました。


今回は私が八重山民謡等の稽古に混ぜていただいている久保田晃平教室のみんなと行ってきました。
沖縄から東北への旅を頻繁に行っていた久保田先生が、8月に手術をする事でしばらく東北に行けないという事になり、生徒同士で行ってみようかという話になりました。
参加者を募った所、7人の仲間が手を上げてくれて、皆で旅をしてみる事にしました。
場所は私が5月に訪れた南相馬市を再訪問する事にしました。
南相馬市原発事故のおかげで、先の見えない暗闇がある場所です。
決して安心とは言い切れないこの場所で、みんなで力を合わせて、みんなで何かを感じる事ができればと、南相馬市での活動を提案しました。


トータルで仮設住宅の5カ所での活動を行いました。
みんなでお揃いのムイチャーを用意して、いざ出陣です。


7月14日 南相馬市

この日は2ヶ所での活動となりました。


前日に夜行バスで福島に移動し、到着した福島駅から6時30分発の南相馬市行きバスで移動します。
先発隊として一人行動です。前回は福島でレンタカーを借りましたが、
今回は移動距離を減らす為に、南相馬市でレンタカーを借りる事にしました。
パスの中では、緑の山道を抜ける緑が美しく心を和ませます。
しかしこの場所も放射線量は決して低くない事を前日の調査で分かっていました。
複雑な気持ちで南相馬に向かいます。


南相馬市原町駅前にバスは無事到着し、レンタカーを借りてまず社協に挨拶に行きます。
南相馬市でのボランティア活動はまず社協に挨拶して登録してから始まります。
皆様も南相馬に来られたらこのルールをお守りください。
これまで数多くの社協の方とやりとりをしましたが、
南相馬市社協がボランティアの管理を一番きめ細かな管理を行っています。
反面、きめ細かい活動をするには職員の数が正直不足しているとも感じていたりします。
いつも人が足りない忙しい状況の中で、開場の手配等大変お世話になっておりまして、感謝しています。


その後は、早朝に東京を出発してきた仲間と合流して、会場の仮設住宅に向かいます。
一つ車の手配で手違いがありました。9人乗りを予約したのですが、シートが2つしかない。
つまり6人しか座席がありません。これはまずいなという事でホームセンターでレジャーシートを
購入し、シートの無い場所ではゴロ寝してもらう事にしました。
思ったよりも好評でほっとしながらの出発となりました。


13時 小池長沼仮設住宅 西集会場
鹿島区の小池周辺は大規模が仮設がいくつも密集しています。
まるで団地の中にいるような感じです。
さて、初の8人でのライブです。
進行もスムーズに行かず、ギクシャクしてしまい、
どうやって話せばいいのか、難しいなぁと感じていました。
一人で活動している時は、自分の気持ちだけを伝えればいいので、気楽ですが、
今回はグループなので、みんなの気持ちをすこしずつ合わせて行く作業が
必要なんだなぁと感じていました。皆もそう思っていたのではと思っています。



二カ所目です。
15時 友伸グランド仮設住宅 集会場
ライブ終了後に泊めていただく約束をしていた場所です。
2ヶ月前も一人で訪問した際にお世話になり、
同じ顔ぶれの方が多数いらっしゃいました。
前回は実はムイチャーを持参していたのですが、帯を忘れたため、
前回はジーパンとTシャツで演奏していたのですが、
2ヶ月前の僕の顔を「覚えているよ。」と行ってくれた人が多数いてくれてとても嬉しかったです。
自治会長さんはご不在で、代わりに会長さんの奥さんが面倒をいろいろ見てくださいました。


この日泊めてもらうにあたり、布団を六組貸してもらえると自治会長さんにお聞きしていましたが、
本来は私達でシーツ類等を用意する必要がありました。
ですが、何も用意できておりませんでした。今度から来る時は気をつけます。
お菓子を持参しようと提案してくれた、なわちゃんにも感謝しています。
四時過ぎにライブが終わり、まだ寝るには時間があるので、
近くの温泉と、食事に向かいます。


まず、温泉に行く前に海岸に向かいました。
原町火力発電所の近くに行きました。
いろいろなものが流されてしまっている事が分かる場所でした。
驚いたのは、津波でいろいろな物が流されたであろう場所に、
新築建設中の豪邸があるのです。
普通は、あの場所に立てるはずがないと思うのですが、
また津波がいつか来ようとも、故郷を離れずに絶対に住み続けるという、
家を立てた方の気持ちが伝わってきます。
故郷への強い思いを感じます。
いい家が出来ればいいなと思ってみていました。


さぁ、温泉に向かいます。
温泉は「はらまちユッサ」という温泉です。
http://www.day-onsen.com/sisetu/0/sisetu849_home.html
温泉はいろいろな傷を癒してくれていいものです。
先日、左足の一差し指がパックリ割れる大怪我をしたのですが、
怪我の治癒にとても良いお湯のように感じました。
あまりお湯が熱すぎる事も無く、東京の銭湯の熱い湯船に今だ慣れない私にとってとても有難かったです。
先日別の温泉に行き、とても感動したのですが、
「はらまちユッサ」もとても素晴らしい温泉でした。
南相馬に来たらまた是非、また利用したいと思います。


その後はメンバー8人で簡単なお疲れさん会です。
南相馬で一番の繁華街である原町駅近くに来ましたが、
店はあまり開いておらず、良さそうな店を見つけても8人は無理と断られ続け、
結局入った先は居酒屋「村さ来」でした。先日、三線教室の打ち上げで十数年ぶりに利用して以来、
なぜか「村さ来」の利用が続いていて、不思議な感じでした。
村さ来」が学生の時によく行った場所で懐かしく思っていました。
私は「和民」より「村さ来」の方が好きです。どうでも良い話ですね。
代行運転を頼りに、本日の寝床である、友伸グランド仮設の集会場に戻り、
みんなで少し話をしていました。
が、気がつけば眠っていました。いろいろ疲れたけど、みんなで力合わせて頑張れました。
楽しかったです。さあ、明日はどうなるか。
以上、一日目終わりです。


7月14日 南相馬市

この日は三カ所で活動です。
朝起きて、泊めてもらった仮設の自治会長さんに挨拶をして、
まずは社協にみんなで活動報告に向かい、活動開始です。


10時 原町牛越三 集会場
イオンのスーパーが近くの仮設です。
沢山の方が朝早くにも関わらず集まってくださいました。
三回目の演奏という事でみんなの動きもスムーズでした。
そう、今回の旅は、沖縄とハワイのコラボレーションです。
フラダンスの縄ちゃんとタカエちゃんが参加してくれました。
住民の方が、三線の音色や歌とフラの踊りで癒されればいいという気持ちです。


フラダンスのタカエちゃんは、
ハワイ語のアロハ「Aloha」についての意味も説明してくれました。
アロハの5文字にはそれぞれ意味があるのです。

  1. A - Akahai(上品さ、優しさ)
  2. L - Lokahi(調和)
  3. O - Olu'olu(前向きさ)
  4. H - Ha'aha'a(謙虚さ)
  5. A - Ahonui(忍耐)

普段聞く事のない話に、住民の方も興味心身といった様子で聞かれていました。
タカエちゃんは、ハワイのやさしい言葉で皆さんを励ましたかったのでしょう。


そして、今回のライブでは、大きな歌詞カードを仲間が用意してくれました。
三線仲間のあさちゃんと、さとみんが用意してくれたのは、マジックボード2.5枚分の巨大な歌詞カードでした。
見た時は少し大きすぎるかと思ったのですが、とても良かったと思います。
見る人も前を向きながら唄う事ができて、唄いやすかったのではと思います。ありがとう!。


13時 寺内弟二応急仮設住宅 集会場
こちらは、最初に会長さんから「観客がすくないかもしれないけど大丈夫?」と言われました。
私は全く見に来る人がおられなくても大丈夫というスタンスでしたが、沢山の人が見に来てくれました。
おそらく仮設住宅の中でも早くからできた建物ではないかと思います。
年配の方がいらっしゃいます。年配の方が多いのですが、皆さんのとてもいきいきとされておられました。
90歳を越えたおばーちゃんもニコニコしながら見てくださいました。
ライブが終わってから、見ていた住民のお母さんが、南相馬の踊りを披露してくださいました。
このような普段見れないものを見せていただく事はとても嬉しく思います。
踊りの途中で、かけ声を発せられるのですが、踊っていない他の方も奇麗に合わせたかけ声を聞かせてくださって、
とてもいいものが見れたと思いました。


15時 牛河内第四仮設住宅 集会場
前回くらいから、集中力が切れ始めてヤバい状態でしたが、最後に気持ちをいれ直して、
みんなで頑張りました。
当然ながら5回目だからかもしれませんが、一番効率よく
みんなで良い演奏ができたと思っていました。技術はありませんが。
今回のライブでもこれまで同様に最後は故郷で締めくくります。

演奏曲です。

  1. 安里屋ゆんた
  2. てぃんさぐの花
  3. 島唄
  4. 島人の宝
  5. 月ぬかいしゃ節
  6. 小浜節
  7. 見上げてごらん夜の星を
  8. オリオンビール
  9. 鳩間の港
  10. ふるさと

皆で曲を決めたのですが、最後の故郷だけは、唄いたいとお願いしました。
いつもやっている事で私にとっては絶対に必要な事なので。
故郷に帰らない人に「故郷」を唄わせるなんて、残酷な事で
とても「唄ってください」とは言えないけれど、心をこめて僕たちの思いを伝えたい、
その為だけにいつも唄います。
多くのこの地にやってくる人が「故郷」という曲を最後に唄うそうです。
ある意味当然なのでしょうね。ボランティアのみなさんの優しい心が「故郷」を唄わせるのだと思います。
時にはそんな「故郷」が住民の方には辛い時もあるそうです。
もしそんな時が来れば頭を下げて「ごめんなさい」というしかありません。
ただ、できれば、他のボランティアの方達と同様に、
この地が故郷として蘇る事を心より願いますので、心をこめて故郷を唄います。
被災地の方達に「もう来なくていいよ」と言われるまでは、
しつこくこのスタイルで、訪問し、心の交流を行いたいと思います。
以上で終わりました!


最後に

最近は一人もしくは二人での活動が中心となっていましたが、
今回は沢山のメンバーでの活動でした。
グループ名は「なんくるないさーず」という名前を、
メンバーのえみちゃん、なわちゃんが付けてくれました。
グループ名の元となる、「なんくるないさ」は
「前向きに生きていれば、きっといいことがあるさ」という事だそうです。


メンバー紹介です。
こんなの書いた事無いけど、書いてみました。
下の写真はすべて予定が終わって原の町駅バス停で乾杯するメンバー達です。

  1. あさちゃん、メンバーの中で民謡が一番上手いです。
  2. えみちゃん、ポップスがメンバーの中で一番上手です。
  3. さとみん 民謡が上手です。くぼちよさんに「僕より歌上手いね」といわれますが、その通りだと思います。
  4. ふじこさん、私の同門です。私が兄弟子になりますが、実際はねぇさんなので頼りにしています。
  5. なわちゃん、フラガールです。いろいろなイベントを仕切るパワフルな姉さんです。
  6. たかえちゃん、フラガールです。福島いわき人でこの震災についての思いは人一倍強いです。
  7. タニグー、私と同じ男性です。よく喧嘩もしていますが、今回頼りにしてました。
  8. 今回のツアーで来れなかった、くぼちよ教室の生徒さん達。※2012/8/13追記

今回のツアーでは、残念ながら諸事情で参加できないメンバーもいました。
そんな人達も次回都合がつけば、参加ができればと思います。沢山の方があの地で素晴らしい経験ができればと思います。
そして今回、我々の活動にカンパしてくださる方もいました。カンパいただいたお金は車のレンタカー代に充てさせていただきました。本当にありがとうございます。


「三六」「あがいてぃーら」「なかよし食堂」そして、「なんくるないさーず」
いろいろなグループ名が生まれました。私はネーミングのセンスは全くないですが、
どれもいいネームだと思います。
同じメンバーで活動する事はなかなか無いかもしれないのですが、
いろいろ楽しかったり、勉強させてもらったりしました。
ありがとうございました。


何となく回を重ねる毎に自分の色はこんなのではないかと思ながらの試行錯誤です。
わたしのトークは泥臭くて拙いトークですが、
心と心を繋ぐためのトークだと思っているので、
まぁ、こんなのでいいんじゃないかと今は思っています。


今後またそれぞれ出来る事を頑張ってゆきましょう。
今年はもう少し八重山民謡を少しでもキチンと唄える事が目標です。


東京に帰ってから翌日、前回の南相馬で一緒に活動させていただいた、
中国気功のTさんとお会いし、今回の活動を報告しました。
Tさんはよく「大事なのは続ける事だよ」とおっしゃります。
その言葉を聞いて、真冬の辛い時期に被災地を励ましたいと思い、
この活動を始めた当初の思いを思い出しました。
またTさんと一緒に活動できたらいいなと思っています。


この旅はしばらくはずっと続きますが、一旦ここまでです。
毎回思いますが、次回はもう少し写真をたくさん撮ろうと思います。